« 映画「ソーシャル・ネットワーク」 | トップページ | 映画「ヤコブへの手紙」 »

2011年1月17日 (月)

映画「酔いどれ天使」

「酔いどれ天使」 黒澤明監督
1月16日(日) 東京芸術センター・シネマブルースタジオにて鑑賞

Dscn0868

1948年―昭和23年の作品。黒澤映画における三船敏郎のデビュー作。タイトルの「酔いどれ天使」は主役の町医者志村喬を指しているのですが、若き三船敏郎のエネルギー大爆発の演技と存在感で完全に主役を食ってしまっています。見終わったあとには三船敏郎の印象しか残りません。この強烈な個性に出会ってしまったら、黒澤明監督が以後自作に使い続けた理由もわかります。

闇市を支配する若いヤクザ(三船)が結核に罹り、症状が悪化するにしたがって没落していきます。その三船を事あるごとに気遣い、ヤクザな生活を改めるよう尽力するのが町医者の志村喬です。

このどんどん三船が没落していく過程を黒澤明は近年のイーストウッド並に容赦なく描写していきます。離れていく愛人、同じように距離を置いていく子分、闇市の人間からも蔑まれ、三船は強い孤独感と自尊心の崩壊によってまるで幽霊のように変貌します。

そしてクライマックスの決闘シーン。洗濯物がたなびく物干し台に仰向けに倒れる三船敏郎の姿。アンジェ・ワイダの「灰とダイヤモンド」のラストシーンは間違いなく黒澤のこのシーンから影響を受けているはずです。白いペンキの中をのたうち回ったため黒いジャケットまるで死に装束のように真っ白に染まっています。とても惨めな死に方だというのに画面の迫力と美しさに釘付けになってしまいました。この演出は今でもまったく色褪せていません。古い映画を見ていて思うのは当時の風俗は確かに今には通じないけれども、フィルムに刻まれた監督の意図やカメラ、美術の仕事はぜんぜん古びないということです。

大好きなルシンダ・ウィリアムスの「Drunken Angel」という曲に、この「酔いどれ天使」の映像を重ね合わせた動画をユーチューブで発見しました。ぐっとくるな〜。

|

« 映画「ソーシャル・ネットワーク」 | トップページ | 映画「ヤコブへの手紙」 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3282/50612938

この記事へのトラックバック一覧です: 映画「酔いどれ天使」:

« 映画「ソーシャル・ネットワーク」 | トップページ | 映画「ヤコブへの手紙」 »