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2010年10月25日 (月)

映画「生きる」

「生きる」 黒澤明監督
10月11日(月)体育の日 東京芸術センター・シネマブルースタジオで鑑賞

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名作として有名な作品。個人的な話なんですが、今作を見た直後に長年の友人が突然亡くなってしまって、生前の彼の生き方、そして自分が今どうやって生きているのかを振り返る機会を得ました。

亡くなった友人はどうしようもないアル中で、更生施設に入所したりして、なんとかアルコールを断ち切ろうとしていました。それでも完全に立ち直ることはできませんでした。親族や家族にもたくさん迷惑をかけた末の死ですが、彼の死を惜しいと思った人はいても、自業自得と思った人はいないようでした。それは誰もがまだ彼が死ぬ年齢ではないと思っていたからです。

彼は今作の主人公のように何かを成し遂げることは出来ませんでした。何も成し遂げていなかったけれど彼の存在は僕にとても大きな影響を与えました。音楽に対するパッション。音楽をやり続けることの意義など。彼の死は「生きる」意味とは、何かを成し遂げるためにあるのではない、ということを僕に教えてくれました。

そういったことを思いながら今作を振り返ってみると、今作の主人公は死に直面することで自分が今まで死んでいたことを知ったラッキーな人物だと思えてしまいます。永遠と続く通夜のシーンで、主人公の同僚である役所からの参列者たちが自己批判をします。自分たちがただ黙々とお役所仕事にこなしているだけでまったく「生きていない」ことを認識するわけですから、なおさらその感が強く思えてきます。

そうそう、この通夜のシーンでの左卜全さんが最高だった。「どん底」のお遍路さん役と同様に、殺伐とした場面に柔らかくて温かい風を吹かすことができる稀有な俳優さんだと再認識。かってに「妖精さん俳優」と認定してしまいました。

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