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2010年10月

2010年10月28日 (木)

映画「エクスペンダブルズ」

「エクスペンダブルズ」 シルベスター・スタローン監督
10月23日(土) 鑑賞券で1300円で鑑賞

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80年代のアクション俳優勢揃いのオールスター映画ということですが、正直あの頃のアクション映画はあんまり詳しくないのです。スタローンやジェット・リーは当然何本も出演作を見ていますが、それ以外の出演者は顔を知っている程度。ほぼ主役をはっているジェイソン・ステイサムだって「スナッチ」ぐらいしか見ていないし、それだって10年前の作品です。だからといって今作が楽しめなかったか?というとそんなことはなくて、充分過ぎるくらい楽しめました。

こういった作品のシナリオのことをあれこれ言うのは野暮ってなもんですから、火薬の量に圧倒されて思考停止で万々歳じゃないでしようか。ただ格闘シーンの、特に1対1で戦う時のカット割りが細かいのは困り者。正直どんな戦いなのか完全には把握できませんでした。最近のアクション映画ってこんなにカット割るのが普通なのかな?

音楽は最高!ジョージアサテライツで始まり、CCRが流れシンリジーで終わるという僕向けロックフェスのような映画でしたわん。(日本オリジナルのエンディング曲は僕的にはなかったことになってるので)

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2010年10月26日 (火)

映画「虎の尾を踏む男達」

「虎の尾を踏む男達」 黒澤明監督
10月17日(日)  東京芸術センター・シネマブルースタジオで鑑賞

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毎週末、北千住の東京芸術センターで開催されている黒澤明監督の特集上映に通うのが楽しみになっています。いつも13時の回を見て、その後老舗のそば屋「柏屋」さんでビールを飲んで帰るというのもパターン化です。

で、今作。能での「安宅」、歌舞伎では「勧進帳」を映画化した作品。僕は年に数回歌舞伎を見に行く程度の緩い歌舞伎ファンですが、それでも何回か見たことがある超有名な狂言です。ちなみに能の方は見たことがありません。ストーリーはまったく「勧進帳」と同じ、エノケン演じるところの強力が今作のオリジナルキャストです。

そのエノケンが本当に面白い。動きのシャープさ。泣き笑いの表情の豊かさ。なるほど大人気だったはずですね。最後の最後で六方を踏むのが弁慶じゃなくてエノケンというのも気が利いていました。でも相変わらず台詞は聞きづらいです。特に大河内傳次郎はもう何を喋ってるのか判別不能。でも、まあ勧進帳ですから、台詞なんか分からなくても大丈夫。おまけに、プリントの状態もとても良くて、いつも思うんだけど、この特集上映のスタッフの人達に大感謝です。

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2010年10月25日 (月)

映画「生きる」

「生きる」 黒澤明監督
10月11日(月)体育の日 東京芸術センター・シネマブルースタジオで鑑賞

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名作として有名な作品。個人的な話なんですが、今作を見た直後に長年の友人が突然亡くなってしまって、生前の彼の生き方、そして自分が今どうやって生きているのかを振り返る機会を得ました。

亡くなった友人はどうしようもないアル中で、更生施設に入所したりして、なんとかアルコールを断ち切ろうとしていました。それでも完全に立ち直ることはできませんでした。親族や家族にもたくさん迷惑をかけた末の死ですが、彼の死を惜しいと思った人はいても、自業自得と思った人はいないようでした。それは誰もがまだ彼が死ぬ年齢ではないと思っていたからです。

彼は今作の主人公のように何かを成し遂げることは出来ませんでした。何も成し遂げていなかったけれど彼の存在は僕にとても大きな影響を与えました。音楽に対するパッション。音楽をやり続けることの意義など。彼の死は「生きる」意味とは、何かを成し遂げるためにあるのではない、ということを僕に教えてくれました。

そういったことを思いながら今作を振り返ってみると、今作の主人公は死に直面することで自分が今まで死んでいたことを知ったラッキーな人物だと思えてしまいます。永遠と続く通夜のシーンで、主人公の同僚である役所からの参列者たちが自己批判をします。自分たちがただ黙々とお役所仕事にこなしているだけでまったく「生きていない」ことを認識するわけですから、なおさらその感が強く思えてきます。

そうそう、この通夜のシーンでの左卜全さんが最高だった。「どん底」のお遍路さん役と同様に、殺伐とした場面に柔らかくて温かい風を吹かすことができる稀有な俳優さんだと再認識。かってに「妖精さん俳優」と認定してしまいました。

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2010年10月21日 (木)

映画「花と蛇3」

「花と蛇3」 成田裕介監督

10月2日(土) 鑑賞券により900円で鑑賞。

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花と蛇、1も2も見ていません。職場のそばのチケットショップで鑑賞券が安く売られていたので、興味本位で見てみました。

主役の小向美奈子さんの演技が微妙で、官能というよりはただ怖がっているだけに見えちゃうのが残念。なによりも顔の表情が作れないのが痛いです。だから特に中盤まではホラー映画を見ているような気分でした。

演技はできないのですが、さすがに身体には存在感があって、「肉塊」とでもいいましょうか、たっぷり肉が詰まってる感じは悪くありません(僕だって男ですから)。

調教師役は火野正平で、この人の存在感があったからこそ、この作品をAVではなく映画作品として踏みとどまらせていたんだと思います。出てくるだけで息苦しくなるんだから火野正平という役者は本当に実力があるんですね。

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劇場には小向さんが映画で着ていた長襦袢が展示されていました。

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2010年10月19日 (火)

映画「わが青春に悔なし」

「わが青春に悔なし」 黒澤明監督
10月2日(土)東京芸術センター・シネマブルースタジオで鑑賞

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1946年(昭和21)、戦後間もない時期に制作された作品。予備知識は草原の花畑に戯れる男女のスチール写真だけ。タイトルもそうだから爽やかな青春映画だと想像していたのですが、いやいやまったく違いました。

物語は実際に戦前に起きた京大・滝川事件とゾルゲ事件をモチーフにしていて、それらの事件に関係したことで生き方が別れていく男女が描かれます。途中でこれは京大事件だということはわかったんですが、ゾルゲ事件は後で解説を読んで気付きました。つまり藤田進は尾崎秀実がモデルだったんですね。

戦後すぐの映画だというのに全編を通してスタイリッシュでオシャレな映画表現が多くて、まあ今となってはちょっと臭い表現もあったけれど、それは60年前の映画なんだからご愛嬌。

今作の原節子は小津安二郎の映画でお嬢さんや清楚なご婦人を演じている彼女とは180度異なり、「女の生きざま見さらせや〜」という真っ直ぐで力強い人物を演じています。というか前半ではパブリックイメージ通りのお嬢さん、中盤で愛を貫くことを決意した独立した女性。ここまではいわゆるイメージ通りの原節子なんですが、後半が凄い。

後半、原節子の夫がスパイ容疑で検挙され、取調べ中に死んでしまいます。彼女は夫の遺骨とともに農家である夫の実家に身を寄せるのです。村ではその一家はスパイだと貶められて村八分状態です。大学教授の娘で今まで農作業などしたことがないお嬢様が村の人々に馬鹿にされながら汗だくになって農作業をする。「顧みて悔いのない生活を」 という夫の言葉を何度も反芻する原節子の凄味で心が痛くなりました。

ヘコタレそうになる原節子を山の木が笑うのですが、ただ山の木が揺れているのを撮影しているだけなのに、村全体が原節子をスパイの嫁と笑っているように思える。その描き方のエネルギーが凄い。力づくで、イーストウッド並に容赦がありません。

戦争が終わり態度が180度変貌する村人たちの描き方に釈然としないものもあるのですが、戦後民主主義の萌芽の時代の作品ですから仕方ないのかもしれません。同様に戦時下の言論の弾圧や、軍国主義に対する批判も今作の重要なポイントとなっています。でも、僕はそういった時代背景のポイントよりも、原節子=力強い自我を持った女性の物語サイドにとても惹かれました。

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2010年10月15日 (金)

映画「瞳の奥の秘密」

「瞳の奥の秘密」 ファン・ホセ・カンパネラ監督
10月1日(金) 映画サービスデーのため1000円で鑑賞。

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アルゼンチンのブエノスアイレスを舞台にした作品。裁判所をリタイアした主人公ベンハミンは25年前に起こった殺人事件を小説にまとめようと過去を回想しはじめます。過去と現在を行き来しながら物語は進行していくのですが、終盤まで物語の中軸をなすのは25年前の過去です。その回想の中に犯人探しのミステリーと主人公と女上司イレーネとのロマンスが描かれます。

※今回はここからもういきなりネタバレです。まだ見ていない人は注意してください。

25年前の事件というのは新婚夫婦の妻が何者かに暴行され殺されたというものです。ベンハミンとイレーネは一度は犯人を逮捕しますが、政治的な理由で犯人は釈放されてしまいます。この辺のアルゼンチンの政情は後から勉強しましたが、ここでは割愛。妻を溺愛していた被害者の夫は嘆き悲しみます。さらに、犯人は逆に政府に雇われるようになり、自分を逮捕したベンハミンの命を狙います。ベンハミンは命を守るためにブエノスアイレスを離れざるを得なくなるのです。そしてそれはロマンスにさえ発展しなかったけれど思いは通じ合っていた上司のイレーネとの別れにもなります。そして25年後、この事件を小説にまとめようとするベンハミン、となるわけです。

物語の中心が現在進行形に戻った終盤、そして驚きの結末を見て、僕は「過去は現在に繋がっている」ということを痛烈に感じました。過去を断ち切った気でいても深層心理に思いが残っている限り、過去は生き続けるんです。

小説を書き終えたベンハミンは、作品を読んでもらおうと被害者の夫の元を訪れます。25年前は髪の毛も豊富でそれなりに二枚目だった夫はすっかり頭は禿げ上がり、初老の男になっていました。家に招き入れられたベンハミンが見たのは、部屋に飾られた25年前の妻の写真の数々です。夫は過去を断ち切ることができず25年間、殺された妻を愛しながら生きてきたというわけです。

この夫とベンハミンは同じです。ベンハミンはかつての上司イレーネを愛し続けています。過去を断ち切れないでいます。過去が現在につながっています(本当はもう一人過去が現在につながっている人物がいるのですが、結末に触れるので割愛)。ただ、被害者の夫よりベンハミンが幸福なのは、それが絶望ではないからです。被害者の夫の愛には絶望しかありません。

死刑制度のことや、アルゼンチンの政情、ワンシーンワンカットのこんなの見たことないスタジアムでの犯人追跡シーン、Aを打てないタイプライターの粋な演出など書ききれなかったことも多かったですが、今年見て良かった映画のひとつです。

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2010年10月14日 (木)

映画「ミックマック」

映画「ミックマック」  ジャン=ピエール・ジュネ監督
9月28日(火) 800円で買った招待券で鑑賞

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詳しいストーリーは公式サイトを参照してね。

向かい合って建っている2つの軍需産業の会社を、主人公とその仲間たちが間に入っていがみ合いをさせて、そのせいで最後はどちらも崩壊させてしまうという、黒澤明の用心棒のような物語。その理由は自分と死んだ父に対する復讐で、その復讐作戦の過程が面白おかしく描かれます。でも、なんだか僕は上手く話の流れに乗れずに、正直退屈を感じてしまいました。タイトルの「ミックマック」は「いたずら」という意味で、そのいたずらの数々が僕には子供っぽ過ぎたかな。

今まで一人ぼっちで生きてきた主人公に仲間ができた。そして擬似家族ではあるけれど、一緒に生活をするようになって、それが嬉しくて、子供のように復讐作戦を遊んでると考えると、子供っぽい「いたずら」も分からないでもないです。でもまあ度を越したいたずらではあるけれども。

主人公も含めて共同体の人々は異形の人ばかりで面白い。以前、黒澤明の「どん底」を最映画化しようにも、今の日本にはあんな異形な俳優たちはいないから映画化は無理だと書きましたが、フランスにはいましたね。今作の主人公と7人の仲間の異形さは「どん底」の長屋の住民のようでした。もちろん見た目だけですけど。

僕が好きなのは前半の仲間と出会うまでのシークエンスです。映画はビデオ屋に勤めている主人公がテレビでハワード・ホークスの「三つ数えろ」を見ているところから始まります。面白いのはボギーがフランス語を話しているんですよ。余談ですが昔見た「リトルロマンス」でも主人公の男の子がパリの映画館で「明日に向かって撃て」を見ているんですが、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードはフランス語を話していました。フランスのアメリカ映画は吹き替えが普通なんだなと再認識しました。

そしてビデオを見ている主人公に流れ弾が当たってタイトルクレジットになるのですが、これがいわゆる擬似夜景、アメリカの夜のような風景なんです。冒頭のボギーといい、このアメリカの夜といい、なるほど昔懐かしいハリウッド映画へオマージュを捧げている映画なんだと僕はひとりごちました。

本編が始まり、一文無しになった主人公はホームレスになって、パントマイムで生計を立てています。穴の開いた靴下と馬鹿になった靴。寝るときの毛布替わりのダンボール。ダンボールの丈が短いから顔の方に引き上げると下半身が寒くなる、だから足の方にダンボールを送ると今度は上半身が寒くなる。チャップリンみたいですよね。なるほどやっぱり古きアメリカ映画に対してなにかある映画なんだなと僕は改めて思ったんですが、実は、ここから先、そんなことは何も無い(笑)なんだったんだろう。

「デリカテッセン」や「アメリ」を撮った監督の作品ですから相変わらず映像は凝りまくり、美術に関しても監督の世界観の再現にまったく妥協はありませんでした。そういう意味では嫌いな映画ではありません。

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