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2010年8月 4日 (水)

映画「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」

「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」ハル・アシュビー監督
7月23日(金)新宿にて鑑賞

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フジロックに行ってきたりなんだりで、見てから随分たってからの感想のアップです。

本作と一つ前に感想をアップした「バード★シット」が、ZIGGY FILMS '70sとしてニュープリントで公開されました。どちらの映画も随分前から評判を聞いていたので、今回の公開は本当に嬉しかったです。

監督のハル・アシュビーという人はアメリカンニューシネマの監督として有名だそうですが、僕にとってはローリング・ストーンズの映画「レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー 」の監督として強く心に刻まれている人です。フィルモグラフィーを見てみてもタイトルは知っているけれど見たことがない映画が多いです。やっぱり僕にとってはストーンズの映画を撮った人なんです。

さて「ハロルドとモード」です。19歳の少年が79歳のお婆ちゃんと恋に落ちるというのが今作のストーリー。

家庭が裕福なので学校に行くわけでもなく、仕事をするわけでもなく毎日ぼんやり暮らしている少年ハロルド。趣味が狂言自殺という点も生きることに何の楽しみも見出すことが出来ない彼の心を表しています。つまり19歳にして生きることに絶望しているのです。

一方79歳のお婆ちゃんは驚くほど自由奔放に生きています。その自由さは一種の奇行にも見えます。しかし、彼女の腕にあるタトゥーがチラッと見えたとき、それは彼女の過酷な人生の裏返しなのだということが分かります。

腕に刻まれたランダムな数字のタトゥーは彼女がユダヤ人の収容所からの生還者だということを示しているのでしょう。ヨーロッパの過酷な状況から生き残り、アメリカに渡ってきた彼女は、人生を楽しむことに決めたに違いありません。

そして、このモードお婆ちゃんと出会ったハロルドは生きることの楽しさを学びます。「毎日一つだけでいいから新しいことを始めるのよ」は正に金言で、それを実行するだけでただダラダラと流れていく日常が新鮮なものになるはずです。

枯れそうな街路樹を引きぬいて、森に植え直すというエピソード。これなんかは紛れもなく死にとりつかれたハロルドが、枯れ木と同じように再生するという暗喩なのです。

二人は恋人同士のような関係になり、ハロルドは母親にモードと結婚するとまで宣言します。しかし、物語は皮肉な終わり方をします。その終わり方は生きることに楽しみを見出したハロルドが、もうモードがいなくても人生を歩いていけるように成長したのだと僕は感じました。

物語全体がキャット・スティーブンスの音楽によって導かれていくのがとても良かった。この手法が誰かに似ていると思ったのですが、Wikipediaを見て納得しました。引用します、
「キャメロン・クロウは、自身が所有するレコード会社Vinyl Film Recordから2007年12月に2500枚限定でサントラ版を発売した」

そう、キャメロン・クロウ監督の匂いがしました。なるほどなあと感心してしまいました。

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