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2010年7月 7日 (水)

映画「ザ・ロード」

「ザ・ロード」ジョン・ヒルコート監督
7月3日(土)に鑑賞

 

僕は読んでいませんが原作はピュリツァー賞まで受賞したベストセラーだそうです。

地球に何か大変なことが起こり、動物も植物も死滅し、厚い雲に覆われて地表に陽は差さない。そして文明も崩壊してしまっている。そんな世界を父と子二人が南に向かってただただ歩いて行く。父親役は「ロード・オブ・ザ・リング」や「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のヴィゴ・モーテンセン。ガリガリに痩せる役作りはさすがだと思いました。

この物語の世界では動植物が育たなくなっているので、ほとんどの人々は食糧がなく死に絶えています。しかし、その中でも人間が人間を食べるというカニバリズム集団だけは生き残っています。

父と子は南の海に行きさえすれば何かがあると信じて荷物を積んだショッピングカートを押しながらひたすら歩きます。ただ食料がまったくないので空腹と戦いながらの旅路です。そして父と子の最大の敵がこの空腹と上記のカニバリズムの集団なのです。

父と子は何度かカニバリズム集団に遭遇します。今作はただただ歩き続けるという単調な物語なので、カリバニズム集団に襲われる、そして逃げるというシークエンスはストーリーに抑揚をつけるためにどうしても必要だったんだろうと思います。だけど、僕はカニバリズムが描かれるとは知らなかったので、その描写にかなりショックを受けてしまいました。

南に向かって歩きながら父は息子に人間としての尊厳を説きます。それは「善き者」でいること。「心に火を持ち続ける」ことです。空腹で餓死しようが、人間が人間を食べることは間違っているという認識も「善き者」でいることの一例なのでしょう。

ここからネタバレです。

旅をしながら息子は父の教えを父以上に理解していきます。目を離した隙に、すべての持ち物が奪われてしまいます。そして、犯人を見つけ出したときの父親の取った行動に対して、息子は敢然とした態度で否を唱えます。息子が「善き者」「心に火を持ち続ける者」に成長した瞬間だと僕は思いました。

物語のラストは少し唐突過ぎるかなと思いました。見ていない人には意味不明でしょうが、犬がいたことに疑問も湧きました。逆に南には犬もいるのか、それなら子供も生きていけるかもと思ったりもしました。

ディストピア映画としては暴力描写が少なくて、嬉しかった。ただその分物語が単調になってしまったのは否めないけど、カニバリズム集団をあれ以上取り上げると別の映画になってしまうもんね。それはしょうがないということで納得してます。

極端に色彩を絞った画面は世界の終わりを表現するのに成功していると思いました。またCGではなく現実にロケで撮影された風景は、よくぞこんな場所を探してきたもんだと驚きました。

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朽ち果てた高速道路は凄かった。CGでは描けないリアルさにフィルムの力を再認識しました。圧倒的な風景は映画館でないと実感できないので、映画館で見ましょう。

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